能登半島地震第2次派遣(20240211-13)

20240101能登半島地震

能登半島地震第2次派遣(20240211-13)

◎全体をとおして
出発日の2月11日には輪島市門前町社会福祉協議会の方とも接点を持つことが出来、設営もうまくいって、鉄板の調整などをしてから二次避難をされている金沢の方にも少しの炊き出しを届けて話を聞くことができた。
 12日は朝から大雪で道はバリバリに凍りつき、ずいぶんと運転に気を遣ったがなんとか無事に支援先の避難所「門前町浦上公民館」にたどり着いた。設営していたテントには雪が積もっていた。
 避難所には当初100名が避難していたが、金沢市内などに二次避難されている方も多く、当日は80名にまで減っていた。一旦は避難所を離れても二次避難場所では重要な情報も入らず、仮設住宅の抽選があっても参加できなければいつまで経っても仮設住宅に入れない。さらには帰ってきたときには浦島太郎状態になって村八分ということも多くある。それを避けるために早々に二次避難所から浦上地区に帰ってくる方が多く、それゆえに増えたり減ったりしながらこの避難所(浦上公民館)の避難者も80名から100名を推移する。
 そして、この輪島市門前町浦上地区は、今ある避難所「浦上公民館」の目の前に3月末には34戸の仮設住宅が建ち、4月より入居がはじまる。34戸だと「浦上公民館」に避難している方全員が入居することはできない。
 抽選で当たった方(仮設に入居)と、外れた方(浦上公民館に避難)が同じ敷地内に生活することになる。先に仮設住宅が当たって入居する方と、公民館に残って避難する方との格
差ができることは目に見えてわかるので、地区代表の区長に聞くと「しばらくは向い合せで避難所と仮設住宅を両立させるしかない」ということで、先の苦労が目に見える。
 それに加えて、これまでどこの被災地を見ても同様であったように、家が全壊した方と家が無事だった方との軋轢が必ずできる。家が残って自宅避難されている方も苦労されているであろう。今後はそういう方も見つけ出して、そちらへの支援もしていきたい。
こういったところが、この地区の今後の大きな課題となってくるであろう。
私たちができることは、月に1回か2回、予算やさまざまな都合上それくらいしか行けないが、それでも支援くださるみなさんの気持ちを背負い、心を込めてお訪ねして、炊き出しを通して関係性を築いていって、せめて愚痴の一つでも聞かせてもらっていく。他所から来ている私たちにだけ話せることがたくさんあり、ここまでの経験上、私たちの存在が非常に大切なことだとわかってきた。
この浦上公民館と新しく建つ仮設住宅の間に毎回テントを張って「あ、大阪のみんなが来たな」と言ってもらって両方の話を聞こうと思っている。
美味しいものを食べてもらって、こちらからの気配り、心配りを受け取ってもらってからの、傾聴活動、そしてコミュニティの再構築に努めたいと思っている。
このたびの派遣では、協力関係にある大阪大学から稲場教授(大阪大学大学院教授・宗教学者、社会学者)をはじめ、院生、学部生、九州からは真宗大谷派のお坊さん(熊本地震の時から協力関係にある)も駆けつけてくれて賑やかな炊き出しとなった。
12日、昼食の「救援隊名物・焼肉丼」を提供すると、さっそく稲場教授が避難所に入ってリサーチを開始し、戻ってこられたときには、「中が大変なことになっています。避難所のみなさん大喜びされています。ぜひとも中に入って様子を見てこられたほうがいい」と言われるので避難所の様子を見に入り「いかがですか?お口にあいますか?」と尋ねると、避難者の皆さんは「こんな炊き出し初めてだったのでとても嬉しいです」「いままでの炊き出しで一番でした」と口々にお礼の言葉を言われた。
稲場教授からは、「私はこれまでにいろんな団体の炊き出しを見てきました。有名なところでは曹洞宗のシャンティ国際ボランティア会(阪神淡路大震災の時には炊き出しの曹洞宗とまで言われている)や杉良太郎さんの炊き出しも有名ですが、今の金光教大阪災害救援隊の炊き出しは日本一です」と言ってくださった。
ずっと被災地を見てこられ、災害のすべてを把握されていると言っても過言ではない稲場先生からそう言っていただけると、一生懸命やっている私たちへのリップサービスが含まれているとしても、13年前の東日本大震災時に曹洞宗シャンティの炊き出しを見たとき、その姿に圧倒され「自分には何もできない」と辛酸を舐めて帰ってきたあの日を思い出した。あれから13年経った今、やっと他団体に少しは追いつけたかなと思う。
そして先日、提携している国連機関から連絡があり、国連と提携しているサッカーチーム「浦和レッズ」からの支援物資をいただけることとなった。
3月上旬には菓子なども添えて物資を配りながら被災者の方とまみえたい。
救援隊もずいぶんと繋がりが広がり、赤い羽根共同募金からのサポート、国連や他宗教、一般企業からも支援をいただけるようになり、宗教者災害支援連絡会(代表は島薗進氏)などでの発表やたくさんの会議にも呼ばれるようになってきた。
今後も繋がりを大切にしてたくさんの支援をさせていただき、被災者の方々のお役に立っていきたい。
 ご支援をくださっている皆様には、いつも暖かい励ましのお言葉やたくさんのご支援をいただきありがとうございます。
引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
(文責・竹内真治)