熊本地震第23次派遣、九州北部豪雨第9次派遣(2018/12/17~22)
○全体をとおして
このたびは、私たちの出発日に新しく建設が始まる熊本教会の地鎮祭があることを知り、先発の隊員で話し合った結果、少し出発時刻を早めてお参りさせていただくこととなった。
場所は電車通りに面し、向かいにはイオンモールや熊本交通局が立ち並ぶ。前の熊本教会と比べると敷地面積は何分の一に縮小されたが、目の前に市電の電停がある一等地になる。
祭主は熊本教会長・萬野信一先生が自らなさった。「熊本地震」で教会が半壊となり、たくさんのご用を抱えながら、土地を求めに東奔西走、引っ越し作業など、苦労の連続と言わざるを得ない状況の先生を見てきたので、ここまで進んだこと、我々も自分のことのように嬉しかった。震災から2年8か月経って初めて明るいことであった。
その後、4か月ぶりに仮設住宅を訪れると、なんとなく皆さん元気がないように思えた。
事情を伺うと、仮設住民が41世帯にまで減り、来年(平成31年)の中頃には20世帯にまで減るという。そして仮設住宅の期限が平成32年の3月までということで、そのときには全員退去ということになる。
次々と近所の方々が仮設住宅を出ていかれるのを見送って、そのたびに寂しくなっていく。それを繰り返すうちに、元気がなくなるのは当然のことであった。
今こそ、我々の力を発揮するときが来たのではないかと思う。
設営を始めると、仮設の男性チームはだんだんとお手伝いくださる規模が膨らみ、我々がテントを張るが、その上にさらにブルーシートを張って、我々のテントが濡れないように設えてくださった。テントの意味を考えると大きな矛盾を感じるのだが、それくらい我々を大切にしてくださって申し訳ないほどであった。
掲示板を見ると、いつものように「遠路の長旅、大変お疲れ様でした。今週は晴れの希望を提出していましたが、折り合いがつかず、雨の予報、力不足で申し訳なく思っています」と張り紙をしてくださっており、それを見ただけでも皆の胸が熱くなった。
「炊き出し」の仕込みをしているときに、隊員が私のところに駆け寄ってくる場面があり、私に「ちょっと、、、くまモンの話、聞いた?」と尋ねるので、「いや、聞いてないけど。。。」と答えると、「今聞いた話なんだけど、、、」と話し出した。
内容は、仮設住宅管理人のKさんが、「実は、私たちは、大阪災害救援隊のみなさんが来てくださっているときに、本物のくまモンに仮設に来てもらって、みなさんに見ていただきたいと願って、熊本県庁に掛け合ったのですが、熊本県の見解は、『くまモンは、熊本県の職員ですから、個人や、まして、一、宗教団体のためには出張させていただくことはできません』と断られました。三度掛け合っても、実現することが出来ませんでした。力不足ですみません」と言われたということであった。
私たちは今、くまモンのTシャツを制服にして活動をしており、隊員も皆、くまモンは大好きです。そのことを知っているこの仮設住宅の方々が、熊本県庁に行って、「これまで、一方ならぬお世話になったから、ぜひとも、本物のくまモンに大阪災害救援隊の方々が来ているときに、仮設住宅の方にきてもらいたい」と、掛け合ってくださっていた。
くまモンは熊本県のキャラクターなので、依頼をするときは熊本県庁を通さなければならない。そして、この80歳になる管理人さんを筆頭に、住民の方々が連れ立って、三度も県庁に出向いては掛け合ってくださっていたということを聞いた。
結果、それは実現することはなかったが、そのことを、ガッカリされながら、私には直接は申されず、他の隊員にこぼされたのであった。
それを聞いた隊員が、涙を浮かべながら、私にそのことを報告し、二人でウルウルするということがあった。本当にありがたい。そのお気持ちだけで十分ありがたい。
私は、仮設住宅にお住いの方々が、いかに悲惨な状況で生活をなさっているかを知っているがゆえに、皆さんに少しでも安らぎを、、、少しでも、ホッとしていただきたい。大阪からでも応援しています。熊本地震からこれまで、九州北部豪雨もあり、大阪北部地震もあり、真備町の水害、土砂災害や台風被害もあり、そのどちらにも救援活動に行きますが、その間も、私たちは決して忘れていません。元気を出してください。という気持ちで行っている。朝日新聞に掲載された「誠心誠意、人助けをするしかありません」と謳っているように、それしか考えていない。
そんななかで、今の話のように、励まそうとして行っているにもかかわらず、逆に、私たちに何かしたいと、そういう気持ちになってくださって、もったいない、本当にありがたかった。
私は、自分が助かったならば、あるいは、今、助かっている自分であるならば、人に手を差し伸べられるような人間にならなければならないと常々思って活動をしてきたが、お道の信心をしていない熊本のこの仮設住民の方々にも、そういう気持ちが伝わったのかもしれないなと思った。
特に難しいことでもなく、特別な技術も能力も資格もいらなくて、親切の心ひとつあればよい。そうすれば、こういう、人間関係ができてきて、あいよかけよの働きが生まれ、助け合いができ、おかげがあると思ってやってきた。
平成30年は日本の各所で災害がおこり、幾万、幾十万の方々が苦難にさらされた。そして未だ大変な苦難の中におられる方がたくさんある。
平成31年も引き続き、おかげをいただいて御用に立ちたいと思っています。
以上、簡単ですが、第23次「熊本地震」ならびに、第9次「九州北部豪雨」災害派遣の報告とさせていただきます。
教区の先生方をはじめ、信奉者のみなさまには、いつも暖かい励ましのお言葉や、たくさんのご支援をいただき、まことにありがとうございます。
引き続いて、熊本、大分、岡山など、全国の被災地の支援をさせていただきたいと思っておりますので、今後とも、ご支援、ご協力よろしくお願い申し上げます。