熊本地震第18次派遣、九州北部豪雨第4次派遣(2017/10/16~20)

派遣報告書

熊本地震第18次派遣、九州北部豪雨第4次派遣(2017/10/16~20)

◎全体をとおして

 今回訪問すると、いつものように、たくさんの方が出迎えてくださったが、そのなかでも、益城町三人娘(T氏・H氏・M氏)は我々が到着するなり、前回からここまでの出来事や、いろんな情報をくだってお手伝いくださるが、今回は開口一番、「吉本さんは今回は来ていないですか?」と問われた。
「どうしてですか?」と聞くと、「前回、休む間もなく働き続けていたから、体を壊すんじゃないかと思って、、、」とのことだった。
前回、仮設の方々には、「この方は、隊長のお弟子さんですから」と紹介し、それに甘んずることなく身を粉にして働いてくださった結果、無理をさせたのではないかと現地の方も心配なさったのであった。
「彼は普段からあれくらいは働いておりましょうし、あのあと大分でも同様に、また、帰ってからの後片付けなんかにも出てくださって、非常にはつらつとなさっていたので大丈夫ですよ」と言って、安心していただいた。

 我々救援隊にご参加いただいた方はご存知かと思うが、我々の現地での活動には休憩時間がない。夕方5時の炊き出し開始を宣言すると、朝から、あるいは前日の仕込みから、みっちりと行ってこそ、ピッタリと夕方5時に開始することが出来る。
隊員の人数と構成を見てからメニューも考える。出来る限りのギリギリ精一杯のものを提供したいと常に考えているからである。そして隊員はみな、昼食の時にだけ一度座ることができる。それを見た仮設住民の方が今回、私に尋ねた。
「どうしてそんなムリをするのですか?」と。
 私は、「大阪、奈良、和歌山を代表して、ここに来させていただいております。帰ったら、座りたいだけ座れます。益城町みたいにお店がたくさんなくなって、不自由な思いもしていません。皆さんが、住みたくて仮設住宅に住んでいるわけではないことも分かっています。私たちだけがぬくぬくとしているのは違うと思って、ここに来させていただきました。たくさんの方が後押ししてくださっています。ですから、ここに居る間だけは、せめて、こうさせてください。本隊の隊員も、大阪大学の人たちも、同じ気持ちだと思います」というと、その方は、しばらく前で涙を流されて、「ありがとう」とおっしゃった。
この「ありがとう」という言葉は、私への「ありがとう」ではなく、教区のみなさまへの「ありがとう」だと思い、ここに記させていただいた。

 また、5回目となった「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」のミニオンのイベントも園児から先生までもが喜んでくださるイベントになった。
 保育園の運動会もミニオン一色となり、先生方もこぞって手作りの服、帽子、なんと運動会の入退場門まで作成された。これは、私たちの影響であると空港第一保育園、第二保育園の園長先生からうかがった。
 そして上述のように、私たちにはミニオンの歌と踊りを披露してくれて、園児、先生、私たちも楽しいひと時を過ごさせていただくことができた。
 熊本、大分での活動も無事に終え、大阪に帰ると、後を追うように、熊本でボランティアに参加してくださっているK氏とT氏とT氏の子ども二人が大阪に遊びに来てくれた。
いつも現地でご用くださるお礼にと、行きたいところを尋ねると、「隊長の家と大阪大学!」と答えた。そして、案内すると、ちょうど大阪教会ではプロレスラーによる体操教室を開催しているところで、普段は人見知りをする子どもだが、Tシャツももらって上機嫌で走り回った。

 大阪大学に行くと、渥美教授のゼミがある日で、「行きます」と伝えていたため私たちを待ち構えてくださり、いつも大阪大学渥美研究室にお世話になっている御礼と次の日程を申すと、教授は「次は、誰が協力できるんかな」とおっしゃり、即座に、林(はやし)氏、林(りん)氏、武内氏が手を挙げてくださった。
 その席で、大阪大学4回生の武内氏は、「私は行きたいのですが、卒業論文が非常に大詰めを迎えております。渥美教授、ぜひともゼミを熊本で開催していただけませんか」と大胆な発言をし、渥美教授も「うん、じゃあ、そうしようか」と二つ返事で受けられた。遥か700キロ離れた地で授業が受けたいと言う生徒もすごいが、それを二つ返事で受ける教授はもっとすごいと感じた。フィールドワークを大切にし、「百聞は一見に如かず」ではないですけれども、少しでも多く現場の空気に触れさせる。人との繋がりを大切にしておられる、そういう研究の在り方、研究者の姿勢、大阪大学の気概を感じさせていただくことができた。

 ご神縁をいただいてと言うべきか、大阪大学の教授や学生が我々金光教大阪災害救援隊に共感してくれて共に活動が出来てきたということにも、救援隊の組織としての成長を感じている。今後、どのような災害が起こった際にも、ともに協力して活動していくことができる。
話は変わるが、我々救援隊は、あるときを境にテントで寝泊まりをしている。これには二つの利点があり、ひとつには経費の削減、もうひとつには起きたらすぐに作業に取りかかれる。移動時間の短縮ということがある。
 しかし、実際には、厳しい台所事情があり、切り詰めてやっているが、やはり経費的にも厳しい現状がある。
いつまで被災者に寄り添うことが出来るのか、どこまで被災地の復興を見届けることが出来るのか、とにかく個人としては、出来る限りの精一杯を捧げたいという気持ちに変わりはない。

 以上、第18次「熊本地震」、第4次「九州北部豪雨」における活動報告とさせていただきます。
教区の先生方はじめ、信奉者のみなさまには、いつも心温まる励ましのお言葉や、支援の数々を頂戴し、まことにありがとうございます。
今後とも、お世話になりますが、ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。