熊本地震第7次派遣(9/12~16)

派遣報告書

熊本地震第7次派遣

◎全体をとおして

 このたびの、「熊本地震」における第7次災害派遣では、現時点で救援隊の最終段階となる仮設住宅での活動を行うこととなった。隊員も本隊だけで8名もいただき、現地スタッフなども併せると戦力も十分であった。

 さて、被災地の現状は、益城町内で被災した家屋の解体作業がすすみ、現場の前を通ると、咽るほどに埃っぽい。益城町の中心地で全壊の指定を受けた金光教木山教会も解体が進み、間もなく平地に戻ろうかという段階であった。
仮設住宅もおおかた出来上がってきており、避難所に居る被災者は全員入居の目処が立っている。この時点で益城町総合体育館での避難者は220名を残すばかりであった。

 今回、救援隊が炊き出しを行った仮設住宅は、70世帯・約170人が暮らす「益城町安永地区仮設団地」で、木山教会から車で5分ほどの場所にある。林のなかで非常に分かり辛い場所にあるが、隣が幼稚園で偶然にも、我々が炊き出しを行った一番初めからずっと通ってくださり、一番初めに仲良くなった方がその幼稚園で保母さんをしている。

 炊き出しは、スタッフがたくさんあるということを踏まえ、午後からのカフェ(「光カフェ」と命名した喫茶店)と、夕方からの炊き出し、そして、炊き出しを集会所内で食べていかれる方へはアルコール飲料の提供もした。
 地域柄かわからないが、一番初めに座って食べ始めた方は元気の良い女性の方で、よく喋り、よく飲み、そのまま最後までゆっくりとしていかれた。最後はおつまみを握りしめながら、大変喜ばれて帰っていった。

 また、自治会長や管理人さんはとても良い方で、終始、私たちの活動に協力してくれ、炊き出しに大喜びなさった。それは、炊き出しが始まると、今までどこに居たのかというほどに人が集まり、自治会長や管理人ですら初めて会った人が炊き出しに並ぶ姿を見ると、急いで駆け寄り、「あなたは何て名前で、何号室に住んでいるのか?」と尋ねる場面が何度もあり、今までに把握出来ていなかった仮設の住人とこの時点で初めて会うことが出来たと喜んだ。「こういう機会になれたことは、あなたたちの活動があったからこそです」と感謝された。

 一つ、参考までに申すが、ボランティアが仮設住宅を訪問するということは度々ある。そして、そのたびに、仮設に住む被災者はイベントに参加を促される。被災者が言うことは決まっていて、「おつきあい」だと言う。「ボランティアが○○体操に来ました。みなさん集まってください」、「ボランティアが心の相談室をやってくれます。みなさん集まってください」、様々な勧誘である。実に、「有難迷惑なことが8割を占める」と。これは、東北でもずっと問題となっていたことである。

 そのことを、何名かの被災者と、自治会長、管理人から聞いた「このイベントだったら、絶対に参加したい!並んでも全然苦痛じゃない!」という言葉で思い出したのである。自画自賛ではないが、どこへ行っても、我々の炊き出しは受け入れられてきた。
 我々の活動が、その有難迷惑ではない残りの2割に入って、コミュニティー構築の一助となれれば本望である。

 そして、今回の活動は、たくさんの外部の方とご縁をいただき、活動をすすめることができた。
まずは、前回の報告書に記載したように、大阪大学大学院教授(稲場教授、渥美教授)、また、その教授率いる大学院生5名(名前は省略)、この学生たちの働きは非常に大きくて、我々救援隊に多大なる貢献をしてくださった。また、人が話すときには必ずメモを取るなど、基本的なことを必ず守り、さらに率先して炊き出しを盛り上げるために仮設住宅を広報にまわるなど、最大限の努力する姿勢を見せてくれた。
 そのほか、熊本大学の教授・学生や、九州保健福祉大学教授、関西学院大学教授・学生などともご縁をいただいた。肥薩おれんじ鉄道佐敷駅理事長は、「ぜひとも今後、人手が足りないときには、私たちを使ってください」と志願してくださった。また、共同通信社とNHKの取材も受けた。

 前回、「IKIMASU熊本」という地元のボランティア団体からこちらへの参加を約束してくれた方も、その約束通りに参加してくれて、活動に花を添えてくれた。非常にテキパキと動き、笑顔でその場を明るくしてくれた。次回の参加も約束してくれている。
 また、四国からも今回新たに2名の青年教師が参加してくれた。その2名がまた、寡黙ではあるが、とにかくよく働いてくれた。ぜひとも今後も活動に参加してもらいたいと願う。

ここで、大阪大学大学院・稲場圭信教授からのお礼状を紹介する。

『金光教大阪災害救援隊
白神隊長殿、隊員の皆さま 大阪大学の稲場圭信です。
 この度は、安永仮設団地での皆さまの炊き出しに、大阪大学チームも参加のお許しを頂き、感謝申し上げます。ありがとうございました。
皆さまの心こもる、丁寧な取り組みの姿勢に、多くのことを学ばせて頂きました。
 被災された方々との直接的な交流での言葉のかけ方、接し方、そして、なによりも表にでてこないところでの準備。朝から丁寧に2度目の鍋の洗いなど、院生たちも多くのことを学んだと思います。
宗教者としての日常的な実践の積み重ねの上にあることと拝察申し上げます。
大阪大学の私たちは、至らないことばかりですが、今後とも、このような機会で交流させて頂けましたら幸甚でございます。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。』                  以上
 
 ここまで急ピッチで進めてきた活動であるが、こうやって他団体との交流も持って、順調に活動が進められている。今後とも、おかげをいただいて、縦横の関係性を大切にし、活動を進めていきたい。

 予算の都合もあり、どこまで活動を進められるかわからないが、救援隊としては人の助かりを願い、今出来る限りの精一杯を被災地に捧げたいと思っている。

 教区の先生方はじめ、信奉者の皆様には、いつも心温まるご支援をいただき、ありがとうございます。今後ともお世話になりますが、なにとぞご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。