熊本地震第15次派遣(2017/6/19~23)

派遣報告書

◎全体をとおして

すでに金光新聞でご覧いただきましたように、このたびの災害派遣においても、通常の「炊き出し」に加えて、益城町の中心地、仮設住宅に隣接する空港保育園にて、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのキャラクターのイベントを行うことが出来た。

このたびは、二回目となるが、その一回目のときの話を聞いた大阪大学大学院の稲場教授もその場に駆けつけた。稲場先生は、当日は他に予定があったが、どうしてもこちらの活動に参加したいとのことで、急遽大阪から飛行機で飛んできた。
稲場先生も、独自になにかをしたいと考えられ、大阪空港でお菓子を100個用意してこられたが、保育園の規模を知って、残念ながら園児に行き渡る数ではないと配布を断念した。
園児へのイベントも、落語のときをあわせると3回目となり、保育園の園長はじめ、先生方とも親しくなり、私たちの訪問を非常に喜ばれた。

今回は園のなかの一番大きな部屋を用意くださっていて、お菓子を配ると園児たちはたいへん喜び、二人の園児が緊張しながらお礼の言葉を言ってくれた。最後はみんなで練習していた歌も披露してくれた。

「熊本地震」以降、仮設住宅から通う子どももたくさんあり、また、余震などに脅かされ、まだ安心して暮らせているとは言い難いこの子どもたちの歌声を聞くと涙があふれる。

「これからも、一生懸命やります」と思う瞬間であった。
「炊き出し」はいつものように行ったが、毎回毎回、現地のスタッフが増えてきている。このたびも、救援隊本体からは2名での派遣であったが、最終的に15人くらいでの奉仕ができた。仮設にお住いの主婦の方から、力仕事はさせてほしいと志願なさる男性の方まであり、気がつけば昼食時にこれまで1テーブルだったのが2テーブルに増えていたり、基本的に自炊するが、料理の品数が増えていたり、デザートの果物が出されたり、皆さんが持ち寄ってくださって、本当に雰囲気の良い中で奉仕をさせていただいている。

毎回、少しずつ替える「炊き出し」のメニューには、仮設にお住いの方々も深く感激され、毎回作り方を尋ねられる。そういうコミュニケーションの取り方もまた、我々大阪災害救援隊の独自の活動、傾聴するということに繋がっていてありがたい。
「炊き出し」に、冷凍食品を使わないということが、救援隊のこだわりのひとつでもある。

それは、災害が起こって避難所に避難をしてから仮設住宅に移るまでの間、被災者には毎日弁当が配られるのであるが、その弁当の内容を知っているだけに、冷凍食品は使いたくないということがある。
これは、決してその配布される弁当を批判しているわけではない。それは、行政から配られるものであるが、命をつなぐ大切な食糧であり、本当にありがたいものである。
ただ、毎日似かよった弁当を食べていることで、避難者も飽きてきているという現実がある。

例えば、「世界のパン・ヤマザキ」(山崎製パン株式会社)は、どこかで災害が起こるたびに、たくさんの食料品を被災地に無償で届けている。

被災地のどこに行っても山崎パンがあるという、東日本大震災の被災地で見てきた光景は非常にインパクトが強かった。
被災者の方からは、「毎日毎日いただくパンはとてもありがたいんだけども、あるときを境にパンに飽きてしまって、喉を通らない」と、ボランティアで行った私たちの食料と交換したこともあった。これも決して批判ではなく、山崎パンは美味しいし、本当に人がたくさん助かってありがたかった。

だからこそ、今となって東北の被災者宅を訪れると、台所や食卓には山崎パンが置かれている光景をよく目にする。
聞くと、「当たり前じゃない。あのときは、飽きるほど食べたけど、今となっては、思い出の味だし、本当に感謝しているの。だから、スーパーに行っても山崎パンしか買わないわ」と言われたことがある。
そういうこともあって我々は、「炊き出し」も手作りにこだわってきた。飽きるほど食べた冷凍食品は使わない。

それを今回、被災者の方から、
「大阪の支援隊のみなさんは冷凍食品を一切使わないで、時間をかけて、ずっと手作りをするんですね。私はコロッケとか唐揚げとか、二度と見たくないと思っていたけど、皆さんの心のこもった手作りのものを食べて、その気持ちに気づきました。本当にありがとう」と言われた。
気づいてくださって、涙ぐむそのお母さんと話をするなかで、こうやって心が楽になっていくんだなと改めて思う場面であった。

次回は8月に訪問の予定をしている。

前後するが、九州豪雨がまた北九州を中心に被害をもたらし、被災地となった地域では、目を覆うような光景が広がっている。
辛い思いをしている方がたくさんおられ、少しでもお力になりたいと思う。
中近畿教区の先生方はじめ、信奉者のみなさまには、いつもあたたかい励ましのお言葉や、たくさんのご支援をいただき、まことにありがとうございます。
このたびも事故やケガもなく、活動を終えさせていただいております。
この上とも、お世話になりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。